[60 Hzの一様磁界ばく露に対する人体の臓器ドシメトリーにおける骨格筋の異方性の影響] tech./dosim.

Effects of skeletal muscle anisotropy on human organ dosimetry under 60 Hz uniform magnetic field exposure

掲載誌: Phys Med Biol 1998; 43 (5): 1059-1074

<目的>低周波磁界による人体内誘導電界誘導電流の評価において、筋肉の導電率の異方性が与える影響についての評価を行う。 <方法>適用した数値計算手法は、SPFD法(スカラーポテンシャル有限差分法)であり、これを適用する人体モデルとして、MRI画像などに基づく解剖学的詳細モデルを構築した。解像度は、3.6mmである。導電率は、Gabrielらの実測による値を基本としたが、導電率に異方性がある筋については、5通りの導電率の組み合わせを与え(いずれも異方性は各軸に沿うものと仮定)、誘導電界および誘導電流に与える影響を評価した。なお、異方性を考慮する場合、導電率はテンソルとして扱った。磁界条件は、直交する3方向の一様磁界とし、60Hz、1μTを与えた。計算結果は、誘導電界平均、最大)、誘導電流平均、最大)で表し、人体高さ方向の各層ごとおよび各臓器ごとの評価を行った。 <結果>筋肉の導電率の異方性を考慮することにより、ふくらはぎ、大腿、肩の位置など、筋肉を多く含む位置で、誘導電界および誘導電流分布への影響が顕著であった。各臓器ごとの検討では、異方性を考慮しない場合と比較して、誘導電界では、平均1.76倍、最大2.43倍、誘導電流密度については、平均2.96倍、最大5.41倍の値となり、特に誘導電流密度の評価において大きな影響を受けることが明らかになった。

ばく露