[400-1850 MHz周波数帯域の無線通信機器によるヒトの松果体組織の誘電特性とRF吸収] tech./dosim.

The dielectric properties of human pineal gland tissue and RF absorption due to wireless communication devices in the frequency range 400-1850 MHz

掲載誌: Phys Med Biol 2007; 52 (17): 5457-5468

ヒト松果体における無線周波数(RF)吸収について詳細な分析を行うために、20の松果体抽出標本の誘電特性を死後20時間未満で測定した。さらに、実際のヒト組織標本に基づき、松果体を取り囲む脳領域の高解像度数値モデルを開発した。このモデルを市販の頭部数値モデルに組み込んだ後、400~1850MHz周波数範囲で、手で持つ一般的な型の機器を頭の近くで操作するばく露シナリオについて、FDTDに基づく計算を行った。実際の手で持つ移動通信機器の典型的出力値について得られた結果として、松果体での吸収RF電力は、国際的安全基準によるSAR限度値と比べ、非常に小さい量にすぎないことが示された。最大吸収は400MHzばく露で見られた。この場合、耳近くで操作される500mW出力の機器を考えると、松果体(器官質量96mg)内で吸収されるRF電力は11μWと低かった。典型的な携帯電話の周波数(900MHz、1850MHz)、出力値(250mW、125mW)に対応した松果体吸収RF電力の値は、それぞれ4.2および36倍低くなることがみいだされた。これらの結果から、典型的な手で持つ移動通信装置からのRF放射によって引き起こされる、松果体における温度関連の生物学的影響は考えにくいことが示された。

ばく露