電場、磁場、電磁界(EMF)へのばく露が健康に悪影響を及ぼす可能性、とりわけ、子供が特別に脆弱であるか否かという問題は、ここ20年で多く論議されてきた。静的な界は、非常にまれで例外的状況である極端に高い強度においてのみ健康影響を生じる。低周波EMFに関しては、小児白血病に関する疫学的研究結果を受けて、国際がん研究機関(IARC)が2001年にこれらの電磁界を“人に対して発がん性があるかもしれない”いう区分に分類した。このような作用のメカニズムについて現段階での幾つかの仮説が発表されている。影響は、もしあるとしても、小児白血病の確立された他の原因との関連では、非常に重要ではないように思われる。移動体通信や無線通信[GSM標準、UMTS標準に従う携帯電話、コードレスDECT電話、無線LAN(WLAN)、Bluetooth]で使用され、また、数十年前からラジオやテレビで使用されているような高周波EMFは、実際上どこにでもある。高い強度では、熱の発生が主要な作用である。現在のガイドライン、制限、規定はこのような影響が起きることを防止している。携帯電話による通話は、ある状況では、限度値に近い局所ばく露をもたらす可能性がある。基地局は通常2-5等級低いばく露を生じる。議論は、いわゆる非熱効果が中心であるが、この非熱効果は熱効果が原因となる強度よりも大きさが数桁低い強度で起きると推測されている。これらの影響の再現性は乏しく、今までのところ、この疑わしい影響を説明する生理学的または病理学的メカニズムは見いだされていない。同様に、疫学的研究は、健康への悪影響の論拠として明確で再現可能なデータを提供していない。携帯電話使用に関連した脳腫瘍、聴神経鞘腫、耳下腺腫瘍のリスクに関するINTERPHONE研究の最終結果は、まもなく得られるだろう。予備的結果は、大きなリスク上昇を示しているようには見えない。今のところ、子供や若者が高周波EMFに対して特別な脆弱性を持つという概念を裏付ける科学データは無い。たとえ、通常の一般的注意(来るべき数10年の生涯について、発達中の組織や構造は脆弱性が高いかもしれない)は考慮するにしても。プレコーショナリ-な対策の概念をこのような問題に適応することは批判的に論議されている。
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