【背景】リスクターゲット(例:自分自身、他人、子供)に関する諸問題は、リスク認知研究において広く認められているが、その重要性に対する意識は低いようである。今までの大半のリスク認知研究は、比較楽観主義を実証し、リスク緩和因子を探索することで満足してきた。比較楽観主義とは、他者へのリスクよりも自己へのリスクを低く認知すること、リスク緩和因子とは、リスクの制御能力の認知や個人ばく露の認知などである。リスクターゲットの問題が、便益の認知あるいはハザード規制の好ましさのような重要な結果にどのように影響を与えるかを調査した研究は非常に少ない。【目的】携帯電話技術に対する住民態度調査のデータを用いて、これらの問題点を調査すること(N=1320)。【結果】第一に、このハザードに対する比較楽観主義が実証された。さらに、制御能力と個人ばく露の両方の緩和効果も見いだされた。第二に、比較有用性の証拠があった。すなわち、携帯電話使用者は、携帯電話技術の便益は他人より自分の方が大きいと信じていた。第三は政策上最も重要であるが、送受話器規制の好ましさの予測因子は、他者へのリスクの認知であり、自己の便益の認知ではなかった。【結論】リスクターゲットの意識を綿密に調べることがハザード規制の好ましさの予測を改善することを結果は示唆した。リスクと便益の双方の認識に関するリスクターゲットの関心事に注意を向けることが、将来の研究にとって有益であろう。
1,320 residents of UK took part in the survey in 2001.
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