[Schuz への質問] (質問者:Ahlbom et al.)Schuzらは前回のデンマークの全国的コホート研究のフォローアップを行った。前回の結果の解釈に限界をもたらした、長期使用者の数が少なかった点が、この長期フォローアップで改善された。しかし、多くの分析において最初の加入からの期間が考慮されていない。携帯電話使用者での脳および中枢神経系(CNS)腫瘍のSIRは、最初の加入から10年以上の群において減少した(SIR=0.66;CI=0.44~0.95)。このことについて著者らは説明をしていない。しかし、男性対象者において、全がんおよび多くの各種のがんのSIRが同じく減少していることは明白である。これは、著者らも認めたように、携帯電話加入者の人口集団は一般人口集団と異なっている(より健康である)ことを意味する。それゆえ、過少見積もりの程度を評価することは不可能であるが、報告されたSIRは余りに小さいと考えるのが当然と思う。使用者からではなく携帯電話オペレータから得た加入情報を利用したことは強力で価値のあることである。しかし、このアプローチは、実際の使用者および使用量に関する情報を欠くという問題をもつ。自身が使わず、家族に提供する加入者がいることは知られている。質問紙への回答で、加入者の61%が携帯電話の使用を報告したことからも、このようなことは起きると考えられる。もうひとつの関心は、人口集団の大きな割合の人が、コホートが定義された後で、携帯電話使用を開始したことである。したがってそれらの人は参照人口集団に含まれている。同じ問題が、加入者としてはこの研究に含まれない法人使用者についても当てはまる。これらの状況は、もしリスクがあったとして、その過剰リスクを薄め、推定値をゼロに近づける。脳およびCNS腫瘍のサブタイプのリスク評価が不可能であった事実からも同様の希薄化が現れているのかもしれない。先行研究は、10年以上の携帯電話使用に関連した聴神経鞘腫の過剰リスクを示した。その研究では、がんとの関連で携帯電話の使用頭側は検討されなかったが、これに対応した分析は本研究でも記されていない。著者らは、がんリスクと携帯電話使用との大きな関連はないと考えることができる、と結論している。我々は、そのような全体的な結論は早計で、データの裏付けがないと考える。本研究の結果や短期使用研究の結果は安心を与えるものであっても、それらのデータが長期使用の影響の証拠となるかは不明である。このことは携帯電話使用に関連した健康リスクの評価において重要な問題である。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。