ヒトの中耳、内耳器官における無線周波数(RF)吸収の詳細な分析を可能にするために、これらの器官の数値モデルが、実際のヒト組織標本を基に0.1mmの空間解像度で開発された。骨迷路内の液体(外リンパと内リンパ)の誘電特性は、10のヒトの新しい死体の標本で測定された。このモデルを市販の数値頭部モデルに挿入後、400-3700MHzの周波数帯域で、一般的な手で持てる装置を頭部近く操作するばく露シナリオの場合で、FDTDによる計算が行われた。実際の手で持てる移動通信装置の通常の出力値の場合、得られた結果では、中耳および内耳器官では非常に少量のRF出力吸収であることが示された。中耳や内耳の最高吸収は400MHz照射の場合に確認された。この場合、耳近くで作動する500mW出力の装置を考えると、骨迷路や内耳神経内で吸収されたRF出力は、それぞれ166μW、12μWと低かった。通常の携帯電話の周波数(900MHz、1850MHz)と出力(250mW、125mW)の場合、吸収されるRF出力に相当する値は上記の値から1等級低い値より大きかった。これらの結果から、通常の携帯電話器からのRF放射によって引き起こされる中耳、内耳における温度による生物学的影響はないらしいことが示された。(本論文のいつくかの図は電子版のみカラーになっています)
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