本研究は、坐骨神経の挫滅外傷の動物モデルに3種類の電磁界を連続的に曝露し、神経再生に及ぼす影響を調べたものであるが、運動機能回復に関しては有意な効果が見出せなかった。また、曝露に用いた電磁コイルの温度上昇も検出されなかったため、温熱による影響はないことが明らかになった。影響の見られなかった理由としては、神経再生部位におけるカルシウム/カルモジュリン(Ca/CaM)のシグナル伝達経路に及ぼす電磁界の波形の関与が推察される。そのため、帰納的シグナル・ノイズ比(SNR)データ解析を用いて、曝露部位の電磁界の波形とCa/CaMのシグナル伝達経路の反応速度・動態との関係を解析したが、両者の間には明確な相関関係がないことが判明した。Ca/CaMのシグナル伝達経路と関連して、一酸化窒素(NO)やその合成酵素(NOS)のシグナル伝達経路においても、電磁界の波形が及ぼす影響について解析する必要があることが、課題研究として提案されている。
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