【目的】Keetleyらの主張「(携帯電話を使用している時の)認知作業能力の差異についての統計的証拠を提供する(p.1847)」は、彼らの研究の統計的限界を考えれば早計である。この理由を説明する。【方法】彼らの研究では、動作中の携帯電話に接近した状態は認知作業に影響を与えるという仮説の下に18の検査が行われ、7つの検査で仮説が支持され(危険率α=0.05)、そのうち5つは作業能力の低下、2つは改善を示した、という。ところが、彼らのデータの解析にはボンフェローニ補正が必要であると考える。補正を行い、彼らの結果の有意性を再検討する。【結果】18種類の検査を行ったのであるから、ボンフェローニ補正を適用するなら、p値は0.05ではなく、その1/18の0.002778に下げなければならない。彼らのデータのp値は最小でも0.004であったことから、観察された7つの影響は通常受け入れられている有意水準に達していない。【結論】Keetleyらのデータにボンフェローニ補正を行った結果、彼らの報告した影響は通常の有意水準に達していないことが示された。例えば、報告のようにトレイルメイキングタスク(TMT)の結果を有意とするためには、危険率は0.05から0.36に上げなければならない。
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