この研究は、低周波電磁界(LF-EMF:50 Hz)への慢性(3か月間)ばく露がラットの松果体の形態学的特性に与える影響に光周期(日の長さ)が関与するか否かを組織学的方法および立体学的方法を用いて調べた。実験は、48匹のMill Hill雄ラット(ばく露群24匹、対照群24匹)を用いた。ばく露群のラットには、LF-EMF(50 Hz、50-500 μT、10V / m)へのばく露を出生時に開始し、1日7時間、週5日で、3か月間継続した。冬(日が短い、夜が長い)に、松果体活動および神経内分泌感受性が高まるため、この実験は、夏と冬の両方に、同じプロトコルに従って行われた。ばく露終了後に動物から摘出した松果体のサンプルをHE染色処理し、立体学的方法で分析した。その結果、冬期の実験において、ばく露群での最も大きな変化は、腺の特徴変化、充血、淡いピンク色の松果体細胞の減少、細胞質欠乏および不規則で棒状の核であった;冬期の実験の対照群では、松果体細胞の肥大が見られ、それらは空胞化した細胞質と過度に濃い色の肥大した核を伴っていた;夏期実験のばく露群ラットでの松果体の形態学的変化は冬期のものほど強くなく、対照群での腺に関する所見は同等であった;立体学的方法では、冬と夏の両方のばく露群で、松果体細胞およびそれらの細胞質と核の体積密度減少が見られた;対照群では冬の場合に松果体細胞、細胞質および核の体積密度増加が見られたが夏の場合は変化がなかった;したがって、光周期は、松果体の形態学的構造に対するLF-EMFの影響の修飾因子であることが示された。その理由は、腺の回復が冬には不完全であり、夏には可逆的であることが考えられる、と報告している。
雄のラット24匹に対し、生後24時間から性的成熟までばく露を実施した。対照群は同じく雄のラット24匹とした。本研究は、同一のプロトコルに従って夏と冬の両方で実施した。ばく露群及び対照群あたり6匹をそれぞれの季節(夏/冬)に、1回目はばく露の直後(グループI)、2回目はばく露の3週後(グループII)に調べた。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 7 h/day, 5 days/week for 3 months |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | coil with 1320 turns of 2.5 mm wire; animal cages placed on both sides of the coil on wooden boards with rubber base |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
冬季に関する、グループIのばく露ラットの松果体における最も有意な形態学的変化は以下の通り:充血、淡いピンク色の松果体細胞の減少、細胞質の欠乏、不規則なスティック状の核。グループIIでは、松果体細胞の肥大化、細胞質の空胞化、高色素の肥大化した核。夏季の松果体の形態学的変化は冬季ほど強くなく、グループIIにおける知見は対照群と同等であった。
立体学的調査では、冬季及び夏季の両方のグループIでの松果体細胞、細胞質、核の体積密度の減少が認められた。冬季のグループIIでは、松果体細胞、細胞質及び核の体積密度の増加が認められた。
松果体の回復が冬季には不完全で、夏季には可逆的であったことから、これらの結果は、光周期性が松果体の形態学的構造に対する超低周波電磁界の影響の変更因子であることを示している。
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